【ナチスドイツの兵器】 ① 最強の歩兵突撃銃 「Sturmgewehr44」
銃についての小話
小さな発明が世界の運命を変えるという事はしばしばある。
19世紀後半、ヨーロッパ列強が世界に植民地支配地を築くことが出来たのは、銃弾を後ろから込める事の出来る後装銃の発明による、と言う考え方も一理あると言える。
実用的な後装銃が登場するのは、1841年プロイセンのドライゼ小銃によるが、それまでは世界中の何処ででも構造に多少の差はあっても、前装銃を使っていた。
アフリカや東南アジアの勢力も、19世紀半ばになれば銃自体は結構持っていた。
1866年にイギリス軍に正式採用されたスナイダー・エンフィールド小銃は、これまで使われていた前装銃を後装銃に改造した初期の後装銃の一つだった。過度的な銃とはいえ、安価で信頼性の高い構造だった。
この後装銃の強みは、発射速度の早さだった。それまでの前装銃が1分間に3~4発しか撃てなかったのに対して、スナイダー銃は10発も撃つことが出来た。
それだけではなく、前装銃は伏せて装弾することが出来なかったが、後装銃は伏せて撃つことが出来た。これは非常に重要な特長だった。
このため、ヨーロッパ列強の軍隊は少人数で、アジア、アフリカの軍隊に対抗できるようになった。
日本が開国したのは後装銃が登場して間もなくの時期で、銃器革命に何とか間に合った、と云う言い方が出来るかもしれない。
このスナイダー・エンフィールド銃はスナイドル銃として、日本でもお馴染みである。幕末の最新銃として威力を発揮し、その後、明治政府軍の主力小銃として日清戦争の頃まで使い続ける事になる。