奴隷船 ♬ Original Australian’s Self-Defence Sound / TBNYD13
■奴隷貿易船
1人分のスペースが、80センチ×18センチ。こんな棺桶(かんおけ)みたいな空間に閉じこめられ、3ヶ月から9ヶ月も航海するのである。しかも、航海中の死亡率は8~34パーセント。つまり、3人に1人は死ぬ。これが、アフリカとアメリカを結ぶ奴隷貿易の実態であった。
この時代、大西洋を横断するのは命がけで、コストも高くついた。儲けを増やすには、1回の航海で、できるだけ多くの奴隷を運ぶしかない。奴隷たちは、身動きできないほど詰め込まれ、一寸のムダもなく、整然と並べられた。まるで食器棚の食器のように。こうして、奴隷貿易船は生き地獄と化した。しかも、その先に待っているのは、さらなる地獄 …奴隷市場。
たった100トンの船に414人の奴隷を載せたという記録もある。当時、奴隷貿易に使われたのはガレオン船で、100トンクラスなら、全長30mほど。運動場で長さ30mの直線を引き、そこに400人を詰め込んだ様子を想像してほしい。しかも、航海中、黒人奴隷はロープにつながれたままだった。こんな劣悪な環境で、ろくな食事も水も与えられず、9ヶ月間も過ごす … 身も心もおかしくなって当然だ。実際、多くの黒人奴隷が、熱病やチフスで死んでいった。
たとえ、この過酷な航海を生き残っても、行き先が奴隷市場では救われない。悲嘆にくれ、船から飛び降り自殺する者もいた。1回の航海で、150人中100人が死亡した記録もある。生き残るのは3人に1人。人種差別的に分類すれば、受益者は「懺悔」で罪から解放される加害者の白色人種、犠牲者は「懺悔思想」のない有色人種…古今東西ことわざにあるように、「色白は七隈隠す」で「自黒(ジーグルー)まさに七難に遭遇」である。
もっとも、監視役の船員も命がけだった。たびたび、奴隷の反乱が起こったからである。たくさん詰め込んだ分、数では奴隷が優る。しかも、航海中の奴隷貿易船は孤立無援、助けは望めない。資料によると、奴隷貿易船の反乱は、かなりの頻度で起こったらしい。フランスのナントを出航した奴隷貿易船のうち、15隻に1隻で反乱が起きたという記録もある。鉄道人夫として米国へ輸送中の乱で石垣島に漂着した唐人墓(石垣喜興建立)の由来など…
やがて、奴隷商人も事の重大さに気づいた。奴隷をどれだけ詰め込んでみても、奴隷市場に到着しない限り、儲けにはならないのだ。ところが、奴隷商人がとった方策は、奴隷貿易船の環境を改善することではなかった。もっと手っ取り早いリスクヘッジ、積み荷の黒人奴隷に保険をかけたのである。現代の医療法人の点滴ホロコースト(老人ホームへの預り金である入所金の巻き上げ)病院経営の経常利益につながる。バラ色の社会保障制度だが実態は奴隷船の腐り…My Blog http://tabiy3.exblog.jp/