エルフについて -民話・神話や伝説の英雄と妖精-
スウェーデン語で「エルフElf」、デンマーク語では「エルヴElv」、ドイツ語では「エルベ」。古代スカンジナビア(エッダ)では「アルファル」と呼ばれた。また、ウェールズでは「エサソン(Ellyllon)」と呼ばれる。姿形はごく小さく透き通って目ではとらえがたいとされ、女王を中心に群れをなして生活している。
善良なエルフ(白いアルファル)は空中に棲み、草の上で踊ったり木の葉の間に座ったりする。邪悪なエルフ(黒いアルファル)は地下に棲み、人間を病気にかからせたり傷を負わせたりする。また「丘の人」と呼ばれる白と黒の中間階級があって、彼らは洞穴や小さい丘の中に棲んでいるといられている。
それらのエルフは牧草地で踊るのが大好きで、彼らが躍ったところには周りより緑の鮮やかな円形の部分(妖精の輪)ができる。彼らの姿は通常人の目には見えないが、真夜中に彼らの踊りの円の中に入るようなことがあると、その人にはエルフの姿が見えるようになる。また、日曜日に生まれた子供にもエルフや同様の存在を見る能力があるとされている。
妖精エルフは、本来北欧神話の豊穣の神フレイ(妖精の国アールヴヘイムの支配者)に支配される精霊で、豊穣を司り、家族や個人の守護霊であった。
スカンジナビア民話「底革のハンス」J・M・ティーレ編
フーネンのブッベルゴールの地に3つの丘があって、今でもそれらは「踊りの丘」と呼ばれているが、昔ここでエルフに出会った男がいた。
昔、ハンスというブッベルゴール若者がで働いていたが、ある晩この丘の側を通りかかったところ、丘の1つが赤い柱の上に持ち上げられ、その下で大勢のエルフが踊り狂い陽気に騒いでいるのが見えた。ハンスはその光景に魅せられて好奇心を抑えきれずに近づいていった。すると美しいエルフの乙女が近寄ってきて彼にキスをした。
その瞬間から彼はまるで正気を失い、ひどく乱暴になって何を着せてもずたずたに引き裂くようになってしまった。そこで人々は彼がもう自分の衣服を破ることが出来ないように靴の底革で作った服を着せることにした。それ以来、彼は「底革のハンス」と呼ばれるようになった。