コレドとは -民話・神話や伝説の英雄と妖精-
フランスのブルターニュに棲む小人族。腕の良い鍛冶屋で、上手に貨幣を作る。巨石建造物のドルメンも彼らの手によると言われている。そして夜になると彼らはドルメンの回りで踊るというのである。
ブルターニュ民話「コレドのおどりと歌」トマス・カイトリー編
ゴールの谷はコレドが棲んでいることで有名だった。夜中にここを通るとコレドが踊っているのに出会うことがあり、そうなると無理矢理ダンスの仲間に引き入れられて、おしまいには疲れ切って命を失う事が多いので、夜の外出はとても危険だと考えられていた。
けれども、ある晩、百姓夫婦が無分別にもこの谷を歩いていった。気が付くと彼らはたくさんの踊っている妖精に取り囲まれていた。耳をすましてみると妖精たちは繰り返しこう歌った。「彼を行かせろ、彼を行かせろ、すきの棒を持ってるから。彼女を行かせろ、彼女を行かせろ、すきの棒を持ってるから。」彼らが持っていたすきが、コレドに対してお守りの役目をしたらしかった。
この話が知れ渡ると好奇心の強い多くの人々がすきを持って、夜ゲールの谷へ行き、コレドのダンスを見物するようになった。とくに仕立屋のペリックとジャンは陽気な男だったので、お互いにダンスに加わってみろとけしかけた。くじに当たったペリックがまず初めにダンスの仲間に加わった。ペリックは「月曜、火曜、水曜。」を単調に繰り返すだけのコレドの歌にあきて、少し間が空いたすきに、こうつけ加えた。「.そして木曜と金曜。」新しい歌詞を喜んだコレドは「お礼に美・位・富のうちの1つをあげよう」と言い出したので、欲のないペリックは自分の背中にあったこぶを取ってくらることと赤毛を黒髪に変えることをお願いした。
帰ってきたペリックの姿を見たジャンは、自分も何か贈り物を貰おうと思い、数日後コレドの踊りに加わった。ペリックが付け足した歌詞を聴いて、ジャンは自分も歌詞をつけ加えようと、こう叫んだ。「そして土曜と日曜!」コレドは叫んだ。「そのあとは?そのあとは?」しかしジョンは同じ言葉を繰り返すだけだったので、コレドは質問を諦めて彼に何が欲しいか聞いてきた。ジャンはすぐさま「富が欲しい」と答えたが、コレドは彼の背中にペリックのこぶをくっつけ、黒髪を赤毛に変えて去っていった。
週の曜日の名が全てあげられた後は「これで週はおわり。」とつけ加える決まりになっていたため、最後を完成しなかったジャンに失望して、コレドが彼を罰したのだった。