紂王とは
殷 紂王
★歴史的観点から★
殷王朝最後の王。姓は子、名は受。史書によれば、紂王は生来弁が立ち、動作も敏捷で 明敏であった。その力は素手で猛獣を倒すことが出来、知恵は諫言をふさぐ程に良く回り、 言葉は非行を飾るに充分であったという。また長身でがっしりとした肉体を持つ美男子で 筋力も強く、1人で1000人を相手に戦えるほどの傑物であった。
在位期間は30年以上におよび、かなり長い間、王として君臨し、国を維持したわけだが 国が滅びたときの王者に対してはありとあらゆる非難・罵声が浴びせられることになる。
強力な紂王は、四隣の氏族をさかんに攻め立てた。有蘇氏を攻めたとき、敗れた有蘇氏は、 美人の妲己を側室として差し出した。紂王はこの妲己を寵愛し、その望むままに歓楽にふける のである。紂王と妲己は有名な酒池肉林の快楽にふけり、それにより人民は紂王を怨み、 さらに諸侯の中にも離反する者があらわれた。すると、紂王は刑罰を重くした。これまた 有名な「炮烙の刑」である。火の上にさし渡した銅の柱に油をぬり、罪人にその上を歩かせ、 罪人が滑って火の中に落ち、のたうちまわる様を見て、紂王と妲己は大いに楽しんだという。 あまりの淫虐残酷さに、天下の人民は恐れた。
最終的には、周の武王の前に牧野の戦いで敗れ、焼身自殺する ことになる。
★私見★
少年ジャンプで封神演義が連載されている。あの作品の妲己は妖怪仙人である。そして、 周の文王・武王を助け、殷を倒すことになる軍師・太公望も また仙人としての修行を積んだ人物である。実際の歴史において、妖怪・仙人の類が 活躍・暗躍したかどうかはわからない。ただ、そうすることでストーリーが面白くなった ことは事実であろう。
この紂王の物語の全ては周代以降に作成されたものであり、実際の紂王がどのような人物で あったのかは歴史の闇のかなたにあり、誰もそれを知ることが出来ない…
個人的には紂王が悪者であった方がストーリーとしては面白い。だからこそ、ここまで 徹底的に悪者としてのレッテルを貼られることになったのだろうと思う。