【Original Inst】Alexander The Great – ELPIS
ELPIS – Alexander The Great(Iskandar Romance) – Maho Kaneko
Thank you for watching my video. It’s my original guitar inst.
エスニック・メタル第二弾のオリジナル曲です。第一弾はこちらです。
◇Ancient Voices – Ethinic Metal –
—
なんだか気取った名前になっちゃいました。「ELPIS:Alexander The Great(Iskandar Romance)」を日本語にすると「希望:アレクサンダー大王(イスカンダル・ロマンス)」になります。
古代ギリシャ世界の英雄アレクサンドロス大王はアジア遠征を行いました。そして、アジア人は彼を「イスカンダル」と呼んだのです。王の生涯は、王の生前から伝説化されはじめており、その伝説を「アレクサンドロス・ロマンス(イスカンダル・ロマンス)」と呼びます。
つまり、この曲は「アレクサンドロス大王の英雄伝説」をテーマにしているのです。
◇ELPIS:希望◇
紀元前334年、アレクサンドロスはアジア遠征を決断しました。しかし、莫大な費用がかかります。そこで、アレクサンドロスは王家の財産のほとんどすべてを、部下たちに分け与えてしまうのです。驚いた部下は心配して、アレクサンドロスに聞きました。
「王よ、あなたは、ご自身のために何を残すのか?」
その問いに、アレクサンドロスはこう答えたといいます。
「ELPIS:(希望だ)」
アレクサンドロスのモチベーションの根源は「希望」だったのです。なので、「希望に満ち溢れた若者が、世界制覇へ旅立つ」をテーマにして作曲しました。アレクサンドロスによって、西洋と東洋が融合した「ヘレニズム文化」が発祥します。西洋音楽と東洋音楽の融合するのに、ふさわしいテーマだと思います。
以前、僕はアレクサンドロス大王について、コラムを書いたことがあります。
せっかくなのでその抜粋を紹介しますね。
—
◇ある英雄の物語◇
その男の父は、偉大な王であった。
父は「世界初の斬新な戦術の導入」と「ヨーロッパ初の諜報機関の創設」と「最先端テクノロジーを活用した新兵器の発明」によって、世界最強の軍隊を創りあげた。
優秀な者同志、分かりあえる何かがあったのだろう。父は息子の優れた資質を見抜いていた。
息子には最高の教育を施したい。こう熱望した父は、当時最高の学者であったアリストテレスを破格の待遇で招き、息子の家庭教師としてつけた。息子はアリストテレスから、政治学、倫理学、地理学、生物学、民俗学、医学までも学んだという。
息子は父の期待によく応えた。文武両道に育った息子は、屈強な戦士の誰もが乗りこなせなかった荒馬を、父の前で、簡単に乗りこなした。父は涙を流して喜び、息子にこう言ったという。
「息子よ、ここにはお前にとって、ふさわしい場所はない。お前は広い世界を目指せ」
それから、息子は東の彼方を見るようになった。まだ見ぬ世界。
あの地平線の向こうには、あの水平線の向こうには、何があるのか?
世界の果てには、いったい何があるのか?
息子が20歳になった時、父は息子の目前で暗殺された。父の復讐を完了した息子は、若干20歳で王の座を継ぐ。
父は死の直前、アジアへの遠征を計画していた。息子は父の無念を想った。父の想いをかなえるのは、息子である自分でなければならない。
そして、父から「王国と兵士」を譲り受けた若き王は、アジアへと向かうのである。父が鍛えた兵士たちは最強であった。父が考案した戦術は無敵であった。
父の遺産と、息子の才能が重なった時、一つの伝説が生まれた。
息子は、その生存中、一度も戦いで負けたことはない。たとえ敵が数十倍であっても、神がかり的な強さをもって、敵を打ち倒した。
王の行くところは勝利しかなかった。王の軍勢はインドまで到達した。いつしか人々は、彼を「Magnus(偉大)」という尊称で呼ぶようになった。
Aleksandros Magnus(アレクサンドロス マグナス)
これが彼の名である。
英語では「Alexander the Great」と表記するこの王の名前を、我々日本人は「アレクサンダー大王」と記憶している。後世の人々は、彼の偉大な人生をこう称えた。
「超える者、未だ現れず(The man who was never defeated.) 」