アヴァロンについて -民話や伝説の英雄と妖精-
「りんご(ブリトン語のアヴァル)の島」を意味する伝説の島「アヴァロン」には、多くの癒しの女神が住んでいる。また、伝説の王アーサーや騎士トリスタン、妖精王オベロン、英雄オジール、カール大帝など、あらゆる時代に活躍した英雄たちが集合しているといわれる。現在のグラストンベリ(「ガラスの島」の意)もかつてそう呼ばれたが、伝説の島とされる候補地は各地に点在している。
また、北欧神話では、9つの世界が存在し、その中に「アールヴヘイム(妖精の国)」「ニダヴェリール(小人の国)」「スヴェルトアールヴヘイム(黒妖精の国)」と呼ばれる異界があるとされている。アールヴヘイム(Alfheim )は、ゲルマンの豊穣の神フレイが支配する妖精の国とされる。ちなみに、サクソン人を代表するアルフレッド大王のAlfredは”妖精の支配者”の原義で、いずれもAlf…=エルフelfを意味する。
物語「オジエ・ル・ダノワとアヴァロンの島」
オジエ(オジール)が生まれた時、数人の妖精がやってきて彼にいろいろな贈り物を与えたが、そのうちの1人モルグ・ラ・フェイ(モルガン)は将来愛人または友人になって彼を助けるという約束をした。成長したオジエは戦いと恋愛で大いに名を挙げたが、ついに百歳になった時、モルグは彼を人間生活の苦しみと危険から隠退させてアヴァロンの島で喜びと休息の生活をおくらせるべきだと考えた。そうしてアヴァロンの島に招かれたオジエはモルグから魔法の指輪をもらい、その力で若さと美しさを取り戻す。そしてアヴァロンの城へと足を踏み入れると、そこにはモルグの兄弟アーサーと妖精王オベロンがいた。
オジエがアヴァロンに来てから2百年の後、彼は一度だけ人間界を訪れた。それはイスラム教徒の大軍がフランスとイタリアに侵攻した時で、オジエはキリスト教防衛のために昔と変わらぬ武勇を示し、異教徒を敗走させた。その後アヴァロンへと戻ったオジエは二度とこの世に姿を見せることはなかった。