ヘレニズム世界 -世界史の勉強ページ-
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sekaishi1
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3.ヘレニズム世界
[1]アレクサンドロスの大遠征
{1}アレクサンドロス3世(大王)の即位(336B.C.)
(1)アレクサンドロス3世-マケドニア王フィリッポス2世の子。アリストテレスに学ぶ。
(2)父王暗殺の後、弱冠20歳で即位。各地の反乱を鎮圧し、ヘラス同盟を掌握。{2}東方遠征(334~324B.C.)
(1)マケドニア陸軍を中心に、ギリシア連合軍を加えた総勢35,000名で
ダーダネルス海峡を渡り、小アジアへ侵攻。
→グラニコス湖畔の戦い(334B.C.)でペルシア軍を撃破。
(2)イッソスの戦い(333B.C.)
→シリアの入り口付近にてペルシア王ダレイオス3世の軍を破る。
(3)フェニキア諸市を平定、財源と交通の要衝を確保。
(4)更にエジプトに侵入、ペルシアの支配から解放
→ファラオの称号を受け、「神の子」として宣言される。
(5)アルベラの戦い(ガウガメラの戦い)(331B.C.)-ペルシア軍に完勝。
→バビロン、スサ、ペルセポリスを占領。(アケメネス朝ペルシア滅亡(330B.C.))
※ダレイオス3世はアルベラの敗北後、バクトリアに逃れたが、
その地の長官に殺された。
(6)軍を再編成後、更に東へ向かう。
→パルティア、中央アジア(バクトリア、ソグディアナ地方)を併合。
次にインド西北部に進軍、インダス川を下る。(ここで土着民の反抗に遭い、
兵士もこれ以上の進軍を拒否したため帰還)
(7)バビロンに凱旋直後、急死(323B.C.)
→急死するまでに一大帝国を建設、東西の諸民族を融合。{3}東西文化の融合政策
(1)オリエントの専制政治を取り入れ、専制君主として支配
(2)被征服地の宗教、風俗、伝統を尊重
(3)ペルシアの宮廷儀礼を取り入れる(跪拝礼など)
(4)マケドニア兵とペルシア婦人との集団結婚。自らもペルシア皇女と結婚
(5)アッティカ貨幣単位による幣制の統一
(6)征服各地にギリシア風の都市アレクサンドリアを建設。ギリシア人を移民させる。
※ヘレニズムとは
(1)ドイツ人歴史家ドロイゼンの造語で「ギリシア風」の意。アレクサンドロスの
東方遠征の結果、ギリシア文化がオリエント文化と融合したものを指す
(2)ヘレニズム時代-アレクサンドロスの東方遠征から
プトレマイオス朝エジプトの滅亡(30B.C.)までの約300年間。
(3)ヘレニズム世界-ギリシア、マケドニア、オリエントを併せた世界
→アレクサンドロスの征服地 |
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3.ヘレニズム世界
[2]ヘレニズム諸国の興亡
年代 |
バクトリア |
イラン
メソポタミア |
地中海東岸 |
小アジア |
マケドニア |
ギリシア |
エジプト |
年代 |
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{1}アレクサンドロス大王死後の混乱
(1)各地で内紛発生、皇族が次々と暗殺され、マケドニア王家が断絶。
(2)ディアドコイ(後継者)の争いに発展
→アレクサンドロス麾下の将軍(ペルディッカス、アンティパトロス、プトレマイオス、アンティゴノス、リュシマコス、エウメネス)が互いに分立し抗争を開始。
(3)イプソスの戦い(301B.C.)
→後継最有力のアンティゴノスが戦死、帝国の分裂決定的となる。領土の大部分は3王国に帰属。{2}ヘレニズム諸国家の興亡とその特徴
◎支配者層-ギリシア人、マケドニア人
◎専制君主制
◎貿易を主とした経済活動の振興
◎政治、文化ともギリシア的要素強く、土着民の反発を招く(次第にマケドニア人を圧迫) |
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(1)セレウコス朝シリア(312~64B.C.)
(a)セレウコス1世により起こる。
(b)首都:アンティオキアとセレウキア
(c)当初は西アジアの大半を領有。
(d)ギリシア、マケドニア人の都市を各地に建設。 |
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300B.C. |
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(2)カッサンドロス朝マケドニア
(301~297B.C.)
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(3)ポリスの分立
(a)各ポリスは一応独立
→マケドニアの影響力強い
(b)3cB.C.頃ポリス間同盟結成
◎アカイア同盟
→ペロポンネソス半島部
◎アイトリア同盟
→ギリシア中部
(c)アカイア同盟がローマに敗れ
属州となる(146B.C.) |
(4)プトレマイオス朝エジプト
(305~30B.C.)
(a)ギリシア人系の国家。
(b)首都:アレクサンドリア
(c)ギリシア人が軍、政府、
経済の中枢を独占、
強力な専制体制を敷く
(d)経済、文化とも著しく発展
(e)30B.C.、ローマにより滅亡。 |
300B.C. |
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(e)東西交易で繁栄
(f)3cB.C.にパルティア、バクトリアが相次いで独立
→領土縮小し国力衰退
(g)プトレマイオス朝、ローマとの抗争の末、
ローマのポンペイウスにより滅亡。 |
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(5)アンティゴノス朝マケドニア
(276~148B.C.)
(a)アンティゴノス・ゴタナスに
より建国。
(b)首都:ペラ
(c)ローマにより滅亡、
属州となる(148B.C.) |
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250B.C. |
(6)バクトリア(255~139B.C.)
(a)セレウコス朝より独立した
ギリシア形国家。
(b)首都:バクトラ
(c)第2代デメトリオス
→インダス流域へ遠征。
(d)交易活動が活発化 |
(7)アルサケス朝パルティア
(248B.C.~226A.D.)
(a)イラン系遊牧民族の長の
アルサケスがセレウコス朝
から独立して建国。
(b)2cB.C.以降強大化。
→メソポタミアにて
ローマと抗争。
(c)シルクロードの経由地
として繁栄。 |
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(8)アッタロス朝ペルガモン
(241~133B.C.)
(a)小アジア西岸の肥沃な
平野部に建国。
(b)首都:ペルガマ
→ヘレニズム文化の
中心都市の一つ。
(c)壮麗な宮殿や大図書館。
(d)ローマに自ら編入。 |
250B.C. |
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150B.C. |
(ローマ共和国) |
150B.C. |
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100B.C. |
(大月氏) |
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100B.C. |
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50B.C. |
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50B.C. |
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(ローマ帝国) |
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年代 |
バクトリア |
イラン
メソポタミア |
地中海東岸 |
小アジア |
マケドニア |
ギリシア |
エジプト |
年代
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3.ヘレニズム世界
[3]ヘレニズム文化
{1}特色
(1)世界市民主義(コスモポリタニズム)
→ポリス社会の崩壊による市民意識の希薄化による個人の重視、
ポリスの枠を越えた「全世界の人々」の意識の発生。
(2)東西文化の融合
(3)中心地:エジプトのアレクサンドリア、ペルガマなど{2}自然科学:めざましく発達、後のイスラム文明に継承。
(1)ムセイオン-アレクサンドリアの王立研究所。中心機関として学者を輩出。
(2)エウクレイデス(300B.C.頃)
→アレクサンドリアで活躍したギリシア人。「幾何学原本」を著し、平面幾何学を大成。
(3)アリスタルコス(310?~230?B.C.)
→サモス島の天文学者。地球、月、太陽の大きさや距離の比などを算定。
(4)アルキメデス(287?~212B.C.)
→シチリア島シラクサの人。アレクサンドリアで学び、浮体の原理、てこの原理、
円周率の計算など数々の功績を残す。後ローマ兵に殺される。
(5)エラトステネス(275?~194B.C.)
→ムセイオンの館長を務め、子午線の長さから地球円周距離を初めて測定。{3}哲学:政治からの逃避や個人の幸福を追求する傾向強まる
(1)ストア派
→開祖ゼノン。アテネのストアにて講義。心の平静が幸福をもたらすとし、
理性による感情、欲望の抑制を強調(禁欲主義)
(2)エピクロス派
→開祖エピクロス。快楽が最高の幸福で、死後の世界を恐れず、
永続的快楽を得て心の平静さを保つことを理想とする。
※ゼノンはキプロス島、エピクロスはサモス島の出身でいずれもアテネで活躍。
{4}哲学:美麗。細かな技巧を重視する傾向。
(1)建築-誇大な建築物多い(ペルガマの祭壇など)
(2)彫刻-調和均整の美が崩れ、劇的、激情的、官能的な主題が好まれる
→ミロのビーナス(ミロ島)、ラオコーン(ロードス島)
瀕死のガリア人(ペルガマ)、サモトラケのニケ(サモトラケ島)など
(3)ギリシア美術の影響
→インド(ガンダーラ美術)→中国(雲崗、竜門)→日本(飛鳥、天平文化) |
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