インドの古代文明 -世界史の勉強ページ-
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sekaishi1
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◎古代インドと宗教の発展
[1]インダス文明
{1}先史時代のインド
◎プレ・ハラッパなどの村落文化{2}インダス文明
(1)インダス川流域に栄えた青銅器を持つ都市文明
(2)民族:不明(ドラヴィダ人?)
(3)代表的遺跡
(a)下流域:シンド地方-モヘンジョ・ダロ
(b)上流域:パンジャーブ地方-ハラッパ
(4)特色
(a)整然とした都市計画(焼き煉瓦の住宅、街路、作業場、倉庫、浴場、排水溝)
(b)印章(牛の図柄)、象形文字(インダス文字(未解読))、彩色土器文化を持つ
(c)農耕、牧畜を営み、菩提樹や牛を神聖視する風習が発生
→後のインド文化の重要な要素となる。
(d)滅亡:不明(アーリア人の侵入、あるいは洪水?){3}アーリア人の侵入
(1)アーリア人:印欧語族
→イラン・インドに入った者がアーリア(高貴)と自称。中央アジアよりカイバル峠を越え、
インドのパンジャーブ地方に侵入(1500B.C.)
(2)初期のアーリア人社会
(a)ラージャ(部族長)の統率する部族社会(血縁共同体)を形成
(b)農耕・牧畜による生活-牛を神聖視
(c)ヴェーダの成立(1200B.C.頃~)
→インド最古の聖典の総称。自然崇拝の讃歌や儀式の内容を綴る。(3)アーリア人のガンジス川流域への進出(1000B.C.頃)
(a)鉄器の使用-農具、武器の進歩
(b)社会、文化的に発展。次第に小王国を形成(マガダ国、コーサラ国など)
(c)ヴァルナ(種姓)制度の成立
→移動、社会発展の間に形成された階級制度。皮膚の色が身分を示した。
後にジャーティ(特定の職業、出身地、言語などによる分別)制度と一体化して
カースト制度を成立させる
◎バラモン(最上位、僧侶)
◎クシャトリヤ(武士、貴族)
◎ヴァイシャ(農民、牧民、商人)
◎シュードラ(奴隷(先住民が中心))
→身分は世襲化され、異なった身分間の通婚も禁止
(d)バラモン教の成立
→ヴェーダの宗教的儀式(贄を捧げて神を祀る)を基礎とし、
バラモンが中心となって発達させる。{4}新宗教の成立
(1)背景
(a)バラモン教が祭式万能主義的で次第に形骸化。
(b)クシャトリヤ、ヴァイシャ階級の勢力が伸張
(2)ウパニシャッド哲学
(a)ウパニシャッド
→ヴェーダの「奥義書」のことで「近くに座す」の意。世界最古の思弁哲学
(b)概要
◎梵我一如
→宇宙の根本原理(ブラフマン)と個人の生命(アートマン)は同一。
◎輪廻の苦悩からの解脱
(3)仏教
(a)釈迦族の王子ガウタマ・シッダルタが創始(5cB.C.)。
→35歳にて解脱し、仏陀となる
(b)徹底した無常観と八正道の実践による四苦(生苦・老苦・病苦・死苦)からの解脱
(c)精神的修行の重視と人間の平等を説く
(d)クシャトリヤ階級が支持
(4)ジャイナ教
(a)ウァルダマーナ(尊称:マハーヴィーラ)により創始。
→出家し苦行の末、大悟を得る(6c~5cB.C.)。ジャイナとは「勝者」の意。
(b)人生を苦と考え、禁欲、苦行による救済を説く。極端な不殺生主義。
(c)厳しい戒律を持ち、カーストを否定。
(d)ヴァイシャ階級が支持。 |
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◎古代インドと宗教の発展
[2]古代インド王朝
{1}古典16王朝時代
(1)マガダ国(ガンジス川下流域)、コーサラ国(ガンジス川中流域)が有力。
(2)マガダ国がコーサラ国を破り併合(5cB.C.)
→ガンジス川流域を支配、仏教、ジャイナ教を保護。
(3)アレクサンドロス大王の侵入(326B.C.)
→撤退後の混乱がインドの政治的統一のきっかけとなる{2}マウルヤ朝(317頃~180B.C.頃)
(1)建国者:チャンドラグプタ(位317頃~293頃B.C.)
(a)マガダ国のナンダ朝を倒して新王朝をたてる。更に西北インドを平定
(b)首都:パータリプトラ
(c)侵入したセレウコス朝シリアのギリシア人を撃退、逆にアフガニスタンを奪う。
(2)第3代アショーカ王(阿育王)(位269~232頃B.C.)
(a)カリンガ地方(現ベンガル地方)を征服、ほぼインド全土を統一し、最盛期を迎える
(b)仏教を保護:万人の守るべき理法としてのダルマ(法)に基づく政治
◎領内各地に磨崖碑、石柱碑を設置、ダルマや仏教による施政方針を刻む
◎サーンチー(インド中部)に仏塔(ストゥーパ)を建立。
◎(第3回)仏典結集-釈迦の教説を編纂。
◎王子マヒンダをセイロン島に派遣、仏教の海外布教に成功
(3)アショーカ王の死後、急速に衰退。
(4)バクトリアのギリシア人の西北インド侵入により国内分裂し滅亡{3}外部異民族の侵入
(1)バクトリアのギリシア人(2cB.C.)
(2)遊牧イラン人のサカ族、パルティアなど(1cB.C.)
(3)イラン系クシャーナ族(1cA.D.){4}クシャーナ朝(1cA.D.~3cA.D.)
(1)大月氏より独立したイラン系国家。北インドに進出。
(2)カシニカ王(位130?~155?)
→中央アジアからガンジス川中流域に進出。全盛期を迎える。
(a)首都をガンダーラ地方のプルシャプラ(現ペシャワール)に定める
(b)中国~インド~イランの貿易路の要衝を押さえて繁栄
(c)(第4回)仏典結集を行い、仏教を保護。寺院、仏塔を数多く建立
(3)カシニカ王の死後衰退に向かい、最終的にササン朝ペルシアに屈服
(4)ガンダーラ美術-ガンダーラ地方に興ったギリシア風仏教美術。
→仏教では当初偶像を作る習慣はなかったが、バクトリアからのギリシア神像の
影響で仏像を作るようになった。技術的にはクシャーナ朝時代に発達し、
中央アジア、中国、朝鮮、日本へと伝播した。{5}アーンドラ朝(サータヴァーハナ朝)(1cB.C.~3cA.D.)
(1)ドラヴィダ系民族がデカン高原からインド南西部を領土として建国。
(2)首都:アマラヴァティ
(3)ローマと季節風貿易を行い、ローマ貨幣が流入。都市が発達。
(4)仏教を保護(ナーガルジュナ(竜樹)が現れる)
(5)この頃より仏教に分化の傾向見られる
(a)大乗仏教(新仏教)
◎「大きな乗り物」の意。在家の生活を認め、慈悲実践を強調。万人の救済が目的
◎菩薩信仰
→全ての人を救済しようとする事で自らも救済されようとする行者(菩薩)を信仰
◎理論的体系-ナーガルジュナ(竜樹)が確立
◎西インドで流行、世界性を持ち北伝仏教として中国、朝鮮、日本に伝播
(b)小乗仏教(従来の仏教)
◎大乗仏教からの蔑称で自らは上座部仏教と呼ぶ。
◎戒律を守り、個人の修行を重視。セイロン島を中心に発展
◎南伝仏教として東南アジアに伝播
{6}グプタ朝(320頃~550頃)
(1)建国者:チャンドラグプタ1世(位320頃~335頃)
→マガダ国の故地で勢力をつけ、マウルヤ朝の復興を企図。
首都をパータリプトラに定める
(2)第3代チャンドラグプタ2世(超日王)(位385頃~413)
→インド北部を統一。領土最大となり、最盛期。封建的支配体制を確立。
(3)5c半ば頃から王統の後継争いが激化。
(4)6c半ば、エフタルの侵入を受けて滅亡
(5)この頃、ヒンドゥー教が成立。
→仏教、ジャイナ教、ウパニシャッド哲学の影響を受けて
バラモン教とアーリア以前の民間信仰が融合し成立
(a)ヒンドゥー3大神:シヴァ・ビシュヌ・ブラフマー
(b)一般民衆宗教の典型-特定の開祖、教義は無く、インド人の
生活習慣、社会習慣そのものが宗教化。
(c)マヌ法典-宗教的義務、日常生活の規範を定めた書
→カースト制とバラモンの優位を強調。
(6)仏教
→ヒンドゥー教の隆盛で不振。教学(学問として仏教を学ぶ)中心となる
(a)ナーランダ僧院の建立
→5c~12cにかけて、仏教教学の中心となる
(b)グプタ様式-ガンダーラから脱却した純インド的仏教美術
→アジャンタ、エローラの石窟寺院の壁画が代表的
(c)東晉の僧法顕が来朝
(7)文化
(a)2大叙事詩
◎マハーバーラタ-ヒンドゥー教の聖典とされている古代インドの戦争叙事詩。
◎ラーマーヤナ-コーサラ国の王子ラーマの冒険武勇談。
(b)サンスクリット文字
→古代インドで用いられた文章語。印欧語系に属し、その最も古い形を残す。
◎カーリダーサ-サンスクリット文学の大成者。
→彼の作品「シャクンタラー」はインドで最も人気のある古典劇。
(c)10進法、ゼロの概念の確立。
{7}ヴァルダナ朝(6cB.C.~8cB.C.)
(1)ハルシャ・ヴァルダナ(戒日王)(位606~647)
→北インドを統一。古代インド・アーリア人最後の統一王朝となる。
(2)首都:カナウジ(曲女城)
(3)仏教を保護し、唐と友好
→唐僧玄奘がナーランダ僧院へ留学。
(4)ヒンドゥー教文化を保護
(5)ヴァルダナ王死後、王朝衰退。インド北部は分裂
→諸王国の分立、抗争の時代に突入(8cB.C.~) |
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