イラン文明 -世界史の勉強ページ-
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sekaishi1
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2.イラン文明
[1]パルティア
{1}アルサケス朝パルティア(248B.C.頃~226A.D.)の建国
(1)カスピ海南東方面のイラン系遊牧民が自立して建国。
→族長アルサケスの下にセレウコス朝シリアの支配から独立(248B.C.頃)
(2)首都をヘカトンピュロスに定める。
(3)安息国ともいう。
→中国におけるパルティアの呼称。アルサケスの音訳。{2}パルティアの隆盛
(1)ミトリダテス1世(位171~138B.C.)
(a)バクトリアと戦って領土を拡大。
(b)セレウコス朝シリアと戦い東の首都セレウキアを奪取。
(c)軍事基地を建設し、これをクテシフォンと名付ける(冬季の首都となる)。
(2)ミトリダテス2世(位123頃~87頃B.C.)
(a)メソポタミアへ侵攻してシリア勢を駆逐。
(b)アルメニアに進駐、王を服属させる。
→西はユーフラテス川、東はインダス川に至る広大な領土を形成。この結果、
ローマ~中国を結ぶ東西貿易の中継地を位置して大いに繁栄した。
{3}ローマとの抗争と斜陽
(1)セレウコス朝シリア、ローマにより滅亡(64B.C.)
→ローマ領とパルティア領が接触、互いに牽制。
(2)カルラエの戦い(53B.C.)
→クラッスス率いるローマの侵入軍を撃退、クラッススを戦死させる。
(3)アウグストゥス帝による平和(20B.C.)
(4)トラヤヌス帝によるメソポタミア侵攻(114A.D.)
→クテシフォン占領され、屈服。ティグリス川まで押し戻される。
(5)マルクス・アウレリウス帝との抗争(161~165)
→クテシフォン占領される。
(6)セプティミウス・セヴェルス帝のメソポタミア侵攻(194)
→クテシフォン占領される。
(7)カラカラ帝のペルシア遠征(217)
→アルタバヌス5世(パルティアの最後の王)の下、ローマ軍に勝利。
{4}パルティアの滅亡
◎ササン朝の始祖アルデシール1世により滅亡(226)。 |
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2.イラン文明
[2]ササン朝ペルシア
{1}ササン朝ペルシア(226~651)の建国
(1)イラン南部パールス地方(アケメネス朝発祥の地)に起こった農耕イラン人の国家。
→始祖アルデシール1世の祖父の名であるササンを王朝名とする。
(2)アルデシール1世(位226~241)
→パルティアの軍を破り、王朝の基礎を固める。
(a)首都をクテシフォンに定める。
(b)ゾロアスター教を国教化。{2}ササン朝ペルシアの隆盛
(1)シャープール1世(位241~272)
→「シャープール」とは「イラン人及び非イラン人の諸王の王」の称号。
(a)クシャーナ朝を破ってインドに侵入(241頃)
(b)メソポタミア、アルメニア方面への勢力拡大に成功。
(c)エデッサの戦いにてローマ皇帝ヴァレリアヌスを捕虜とする(260)
(2)シャープール2世(位310~379)
◎ローマと戦端を開く。
→ユリアヌス帝のペルシア遠征を撃退してユリアヌス帝を戦死させる(363)
{3}社会の一時的混乱
(1)東ローマ帝国との抗争
→テオドシウス2世治下の東ローマに敗退、キリスト教徒に信仰の自由を認める(421)。
(2)エフタルの強勢
→中央アジアのトルコ系遊牧民族。5c半ばから南下を開始。
484年の戦いにペルシアが敗北。以後エフタルの影響下に入る。
{4}ササン朝ペルシアの復興
(1)ホスロー1世(位531~579)
(a)税制・軍政を改革して国力の建て直しを図り、学術を奨励。
(b)東ローマ皇帝ユスティニアヌスと激しく抗争。
→シリア、コーカサス、エジプトを占領し帝国最大版図を実現。
(c)トルコ系遊牧民族の西突厥と結んでエフタルを滅ぼす。
(d)ササン朝文化が隆盛し、黄金時代を迎える。
(2)ホスロー2世(位590~628)
→東ローマとの抗争の末、地中海東岸一帯を奪取。
{5}ササン朝ペルシアの滅亡
◎イスラムの信仰にもえるアラブ軍の侵攻に遭う。
→ニハーヴァンドの戦い(642)に敗北、
最終的には651年に滅亡。 |
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2.イラン文明
[3]イラン文化
{1}パルティアの文化
(1)特色
◎ヘレニズム文化の影響が強く、国際色豊かな文化
→王は「ギリシアの友」という称号を持つ。
(2)言語・宗教
(a)公用語にギリシア語を用いる。
(b)ゾロアスター教を採用。{2}ササン朝ペルシアの文化
(1)特色
◎アケメネス朝の後継を任じ、イラン民族としての文化の傾向が強まる一方、
東西交通路として各地の文化、芸術が流入。
(2)言語
◎パフレヴィー語
→ササン朝期に確立したゾロアスター教関係の中世イラン語。
(3)宗教
(a)ゾロアスター教
◎国教となり、アケメネス朝以来の伝統が復活。教会組織を整備。
◎経典アヴェスターの編纂行われる。
(b)外来宗教
→仏教、ネストリウス派キリスト教などが伝播。
(c)マニ教
→マニを教祖とする宗教で、ゾロアスター教にキリスト教や仏教の教義を融合。
ササン朝では異端とされて弾圧。マニは処刑される。
(d)ミトラ教
→ミトラ神を崇拝する宗教。3B.C.頃より起こる。
(e)マズダク教
→ゾロアスター教の別宗派。
(4)美術・工芸
◎銀器、硝子器、青銅器、織物などに特色あり。
→日本の芸術にも影響(法隆寺の獅子狩文錦、正倉院の白瑠璃碗、漆胡瓶など) |
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