ケルピーについて -民話・神話や伝説の英雄と妖精-
ケルピーとは
「どの湖もそのケルピーつまり水馬を持っている。夏の夕方、ケルピーが岩のてっぺんに座ったり、水面を泳いだり、岸の牧草地で草を食べたりするのを、羊飼いいがちょいちょい見ている。この邪悪な水の精はたびたび女性や子供を誘って水中の住みかに引きずり込み、すぐに食べてしまう。また川や湖の水かさを増して洪水を起こし、普段なら安全な場所を歩いている旅人を水の中に沈ませることもある。」(グレアムGraham著「パースシャーのスケッチ」より)
スコットランド(高地)民話「ケルピーの馬具」W・グラント・スチュアート編
昔、ウェロックスというあだ名の勇敢な男(マクレガー)がいて、彼はケルピーから馬具を外したことがあったと伝えられている。ケルピーはマクレガーに馬具を返してくれとしきりに頼んだが、マクレガーはそれを手元に置いて別の馬具を取り付けた。そうして人間界の馬具を取り付けられたケルピーは、マクレガーの意のままに働かされる運命となった。
民話「モーフィーの領主」ロバート・チェインバーズ(語り)
昔、モーフィーのグレアムがケルピーに馬具をつけることに成功し、自分の新しい城を建てるために石を引かせた。城が完成した後で馬具を解いてやると、皮の擦りむけた哀れなケルピーは川へ駆け込み、こう言った。「悪い領主の石を運んで背中が痛い骨も痛い。ケルピーが生きている限りモーフィーの領主は栄えるものか!」
それ以後、一族が死に絶えるまでモーフィーのグレアム家の者には不幸がつきまとったということである。