古代オリエント -世界史の勉強ページ-
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sekaishi1
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1.古代オリエント
[1]オリエントの風土と民族
{1}オリエント
(1)ラテン語(古代ローマ人の言葉)で「日の昇る方向」の意。地中海東岸一帯をさす。
(2)地域-小アジア以東の地。西アジア、エジプト{2}自然環境
(1)気候
(a)地中海性気候-夏:高温乾燥、冬:温暖多雨
(b)乾燥気候-高温小雨:砂漠、草地などが多い
(2)各地域の主な生活様式
(a)小アジア・アラビア半島-遊牧生活
(b)エジプト・メソポタミアの大河流域-毎年定時期に起こる氾濫が沃土をもたらす。
→穀物農業(主に麦)、高度な文明の成立
※肥沃な三日月地帯-パレスティナ~メソポタミアに至る農耕文明の成立地帯
エジプトを含めることもある。
(c)地中海東岸-中継貿易が発達{3}社会・文化
(1)定期的な増水・氾濫が広大な沖積平野を形成
→農耕民が定着、大規模な治水、灌漑、共同労働の必要性が増す。
(2)専制君主の統治
→神またはその代理者として統一国家を作り専制政治を行う。
(3)強大な王権を官僚、神官(知識人)が支える
(4)宗教的支配-宗教的権威者(王・神官)が政治的にも支配
→祭政一致の神権政治
(5)文化の性格-専制政治と宗教の権威を象徴。自由な思考の発展は乏しい |
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1.古代オリエント
[2]エジプト
{1}エジプトはナイルの賜(ギリシアの歴史家ヘロドトスの言葉)
(1)ナイル川上流エチオピア高原での定期的な豪雨(7~10月に増水)
→肥沃な泥土が下流に堆積、施肥なしで年2,3回の収穫が可能
(2)交通路としての重要性{2}統一前の状況
(1)民族-ハム語族:新石器時代末期に侵入
(2)治水・灌漑の必要性-強い指導者、統一国家とその支配機構の整備進む。{3}ノモス(小部族による都市国家)の分立(4000B.C.頃)
(1)上エジプト(ナイル川中流域)-22のノモス
(2)下エジプト(ナイル川デルタ地帯)-20のノモス
◎上下でそれぞれ統一の後、メネス王による統一
→第1王朝の成立(3100B.C.頃)
※メネスは伝説上の統一者で、出土したロゼッタストーンによると、
下エジプトを統一したのはナルメル王とある。
{4}古王国(第3~第6王朝、27~22B.C.)
(1)首都:メンフィス
(2)第3~第4王朝時に最盛期迎える
(3)王はファラオ(「大きな家」の意)と呼ばれ、全国土を支配
→「現身の神」として神権政治を行う
(4)神官・官僚-貴族として王より土地を与えられる
(5)農民-生産物の租税を納める。不自由な身分
(6)ピラミッド-王の巨石墳墓。
→ギゼーの3代ピラミッドが有名(クフ王、カフラー王、メンカフラー王)
(7)第6王朝以降-神官・貴族の強大化に伴う王権の弱体化
{5}第1中間期(2190~2050B.C.頃)
(1)王朝乱立し、各ノモスが半独立化
(2)社会不安広がり、農地荒廃
{6}中王国(第11~第13王朝、2133頃~1786頃)
(1)都市国家テーベの豪族が全土を統一
(2)首都:テーベ
(3)秩序回復、一時的ながら文化、政治が繁栄
(4)庶民の地位が向上-庶民も死後ミイラ化
{7}第2中間期(1780頃~1560B.C.頃)
◎異民族ヒクソスの侵入
→セム系遊牧民を中心とする西アジアの移住民。馬と戦車で中王国を征服
{8}新王国(第18~第20王朝、1567頃~1085B.C頃)
(1)1570B.C.頃、ヒクソスをテーベ侯が撃退し全国を統一
(2)首都:テーベ
→ヒクソスより馬と戦車を導入、中央集権政治を行う
(3)ハトシュプト女帝-内政重視の平和外交行う
(4)トトメス3世-シリア、パレスティナ、ヌビア(エジプト南方域)を征服、最大領土を形成
(5)アメンホテップ4世(アクエンアテン)(位1379~1362B.C)
(a)宗教改革を行う-テーベの守護神アモンの国神化
→テーベ以外の諸都市の反発
→唯一神アトンの信仰を強制、
首都をアケアトン(現テル・エル・アマルナ)に移す。
自らもイクナートン(アトンに愛される者)に改名。
(b)アマルナ美術-革新的・写実的な芸術の発達
※ネフェル・ティ・ティ-アメンホテップ4世の妃。ミタンニ王国の王女で絶世の美女。
その胸像はアマルナ美術の代表例
(c)王の死後、首都は破壊され、テーベに首都が戻る。
→ツタンカーメン王即位の時、アモン神官と和解成立。
(6)ラムセス2世(1304~1237B.C.)
◎シリアに進出し、ヒッタイトと対立-カデシュの戦い(1286 or 1285B.C.)
→ラムセス2世対ムワタリシュ王。1280B.C頃に対等国家として和平条約を締結
{9}末期王朝時代(1090頃~525B.C.)
(1)海の民族(諸民族の混合勢力)の侵入に苦しむ
(2)アッシリアによる征服(670B.C頃)
→一時独立するも、ペルシアにより滅亡。 |
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1.古代オリエント
[3]メソポタミア
{1}シュメール人の都市国家群(3500~2500B.C.頃)
(1)シュメール人-民族系等不明。紀元前4000年紀前半に村落定住生活を開始
(2)メソポタミア南部に都市国家建設
→ウル(最大、城壁あり)、ウルク、ラガシュなど約20。
巨大な聖塔(ジグラッド)を持つ都市もあり。
(3)各都市国家の性格
(a)守護神を持ち、最高の神官、戦士である王が中心。
(b)神官、官僚、戦士が都市の神を祀り、自由民、奴隷を支配(階級社会と神権政治)
(4)シュメール文化-豪華。成文法を持つ(シュメール法典)
(a)壮大な宮殿、神殿、王墓を持つ。
(b)治水・灌漑による生産力の向上-外国との貿易、他都市との覇権抗争始まる
(c)支配者への富の集中が顕著
(d)青銅器の武器、彩文土器、戦車を持つ
(e)楔形文字を創始-広く西アジアに伝播{2}アッカド王国(2350頃~2050B.C.頃)
(1)アッカド人-セム語族。メソポタミア北部に定住
→2400B.C.頃、アッカド市にサルゴン1世が現れ、同族セム人の都市国家連合を率いて
シュメール人都市国家を次々と征服(初の全メソポタミア征服)
(2)約2世紀にわたって栄え、度量衡の統一、楔形文字の表音化などを進める
文化的にはシュメール人の影響強い
(3)第4代ナラム・シン-領土拡大し、「アッカドの神」として神格化
(4)ザグロス山間より進出したグチ族により滅亡{3}ウル第3王朝
(1)ウルの代官ウル・ナンムが、シュメール人とアッカド人の連合の下、王朝を再建。
→中央集権により運河、道路を建設、法整備を行う(2000B.C.頃)
(2)1950B.C.頃、東方よりエラム人(民族系統不明)、
西方よりアラム人(セム語族)の侵入を受けて滅亡
{4}群雄割拠の時代(2025~1775B.C.頃)
◎イシン・ラルサ時代-首都ウルをめぐるイシン朝とラルサ朝の争い
{5}(古)バビロニア王国(バビロン第1王朝)(1830頃~1530B.C.)
(1)民族:アムル人(セム語族)。20cB.C.頃、バビロンに侵入し、定着。
(2)ハムラビ王(18cB.C.頃)-第6代の王。
(a)エラム人勢力を一掃、全メソポタミアを統一。小アジア、シリアにも勢力を伸ばし、
中央集権体制を確立。
(b)首都:バビロン
(c)大規模な治水、灌漑事業を行う。
(d)ハムラビ法典
◎シュメール法典を継承し、集大成した成文法。全282条。
◎民法、商法、刑法、税法、土地制度、家族制度、婚姻、職業などについて規定
◎特色
○復讐法の原則-「目には目を、歯には歯を」(同害刑法)
○階級法-被害者の身分により、刑罰に差をつける
(3)滅亡-16cB.C.はじめより、ザグロス山中からのカッシート人の侵入に苦しむ。
→最終的にヒッタイトの侵攻を受けて滅亡。バビロンはカッシート人の支配を受ける。
{6}印欧語族の3王国
→中央アジア、南ロシアの遊牧民が民族移動。紀元前2000年紀にオリエントに侵入。
馬と戦車による戦術で先住民を征服、融合。
(1)カッシート王国
(a)カッシート人がザグロス山中より進出。メソポタミア南部を征服
→バビロンを支配(16c~12cB.C.)。
(b)エジプト、ミタンニ、ヒッタイトと抗争(アマルナ時代のエジプトと交渉を持つ)
(c)1204B.C.頃、エラム人により滅亡
(2)ミタンニ王国
(a)16cB.C.頃、メソポタミア北部、シリアを支配、15cB.C.半ばに最盛期を迎える
(b)エジプト、ヒッタイトと抗争
(c)14cB.C.頃より衰え、ヒッタイト、アッシリアにより滅亡(1350B.C.頃)
(3)ヒッタイト帝国(ハッティ)
(a)20cB.C.頃、バルカンより小アジアへ侵入。
(b)1650B.C.頃、小アジアを支配する強大な帝国を建設
(c)ハトゥシリシュ1世が首都をボガズキャイ(ハトゥシャシュ)に定める
(d)16cB.C.古バビロニアを滅ぼす(ムルシリシュ1世)
(e)1400B.C.頃よりオリエントで最初に鉄製武器を製作、使用
(f)14cB.C.、シュッピルリウマシュ王の時最盛期を迎える
(g)エジプトと抗争(カデシュの戦い)
(h)12cB.C.、急速に衰え、滅亡 |
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1.古代オリエント
[4]地中海東岸
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西暦 |
シリア地方 |
フェニキア地方(現レバノン) |
パレスティナ地方 |
西暦 |
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25cB.C. |
{1}カナーン人の侵入・定着
(1)語族:セム語族。25cB.C.頃より定住を開始。地中海東岸各地に都市国家を建設
→沿岸の都市国家-ウガリッド、ビュブロス、シドン、ティルス、ガザなど
→内陸の都市国家-ゲゼル、メギッドなど
(2)エジプト・メソポタミアを結ぶ通路かつ東地中海への出口にあたり、
通商業で発展(キプロス、クレタにも進出) |
25cB.C. |
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{2}エジプト、ヒッタイトの侵入 |
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15cB.C. |
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{3}ヘブライ人の侵入・定着
(1)当初ユーフラテス川上流域における遊牧生活を営む
(2)15cB.C.頃、パレスティナ地方に侵入、
先住のカナーン人を制圧して定住生活に入る
(3)更に一部住民はエジプトに移住。
(4)出エジプト(13cB.C.)
(a)エジプトに移住していたヘブライ人が、
新王国のファラオ(ラムセス2世?)の圧政を受け、
モーゼに率いられてエジプトを脱出
(b)シナイ山にてヤーヴェの神と契約(十戒)。 |
15cB.C. |
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14cB.C. |
14cB.C. |
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13cB.C. |
13cB.C. |
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12cB.C. |
{4}海の民族の侵入
(1)ギリシア・エーゲ海方面から東地中海の制海権を掌握(聖書の「ペリシテ人」(フィリステン人)にあたる)。
(2)13cB.C.末、ヘブライ人を圧迫し山岳地帯へ駆逐(ヘブライ人は12の支族に分裂)。 |
12cB.C. |
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{5}アラム人の侵入
(1)12c~8cB.C.頃にかけて
諸小王国を形成。
(2)中心都市:ダマスクス
(3)9cB.C.半ば頃よりイスラエル王国を圧迫。
また、アッシリアの南下を防ぐ
(4)内陸貿易で活躍、
アラム語が商業語として
西アジアに普及
(5)アラム文字-東方の緒文字の源流となる
→インド、マレー、チベット、満州、モンゴルなど |
{6}フェニキア人の支配
(1)フェニキア人-現在のレバノンの海岸部に
定着したカナーン人の
ギリシア語名。
◎12cB.C.以後、都市国家を形成。
→シドン、ティルス、ビュブロス、ベリトスなど。
(2)地中海貿易の利益を独占。
→黒海、大西洋(イギリス)、紅海、
インド洋にも進出
(3)地中海各地に植民市を建設
→カルタゴ(ティルスの植民市)など
(4)フェニキア文字-22字の表音文字
→シナイ文字とともに
アルファベットの起源となる |
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11cB.C. |
11cB.C. |
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10cB.C. |
{7}ヘブライ王国
(1)1020B.C.頃ヘブライ人がペリシテ人を制圧。(サウル王)
(2)第2代ダビデ王(位1000頃~960頃B.C.)
(a)首都をイェルサレムに定める
(b)四隣を従えて国力増大。
(c)シオンの丘に居城と宮殿を築く
(3)第3代ソロモン王(位960頃~922頃B.C.)
◎黄金時代迎え、王室の奢侈が増大
→苦役、重税を強いられた住民の不満高まる
(4)ソロモン王の死後、国は南北に分裂 |
10cB.C. |
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{8}イスラエル王国(北)(922~722B.C.)
(1)商工業の発展見られるも、
宗教体制は崩壊。
(2)首都:サマリア
(3)アッシリアにより滅亡
→異民族が移住。残存イスラエル人と
混血しサマリア人を生じる。 |
{9}ユダ王国(南)(922~586B.C.)
(1)遊牧業中心。
(2)ヤーヴェ信仰が強化される。
(3)首都:イェルサレム
(4)新バビロニアに併合され、滅亡。 |
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9cB.C. |
9cB.C. |
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8cB.C. |
8cB.C. |
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(アッシリア帝国) |
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西暦 |
シリア地方 |
フェニキア地方(現レバノン) |
パレスティナ地方 |
西暦 |
1.古代オリエント
[5]古代オリエントの統一
年代 |
イラン |
メソポタミア |
小アジア |
シリア |
フェニキア
(レバノン) |
パレスティナ |
エジプト |
年代 |
3000B.C. |
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1.ノモス分立
2.メネス王による統一 |
3000B.C. |
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3.シュメール人の都市国家 |
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2500B.C. |
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4.古王国 |
2500B.C. |
2000B.C. |
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5.カナーン人の都市国家 |
2000B.C. |
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6.アッカド王国 |
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7.第1中間期 |
1500B.C. |
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8.ウル第3王朝 |
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9.中王国 |
1500B.C. |
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10.(古)バビロニア王国 |
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11.ヒッタイト帝国 |
12.第2中間期 |
1200B.C. |
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1200B.C. |
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13.カッシート王国 |
14.ミタンニ王国 |
15.新王国 |
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1000B.C. |
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16.海の民族 |
1000B.C. |
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17.アラム人 |
18.フェニキア人 |
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700B.C. |
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19.フリギア王国 |
20.ヘブライ王国 |
21.末期王朝 |
700B.C. |
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21.イスラエル王国 |
22.ユダ王国 |
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{1}アッシリア帝国
(1)語族:セム語族
(2)北メソポタミアに起こり、25~20cB.C.頃には
ティグリス川上流域にアッシュール市を
中心とする小王国を建設。
(3)15cB.C.頃、ミタンニ王国に服属、朝貢。
→1270B.C.頃、ミタンニ王国を滅ぼす。
(4)1232B.C.頃、カッシート王国を滅ぼす
(5)12cB.C.頃より周辺域の征服を開始
→全軍装備の鉄製武器と戦車による
(6)ティグラト・ピルセル3世(位744~727B.C.)
→パレスティナ、シリア、バビロニアへ進出
(7)サルゴン2世(位721~705B.C.)
→イスラエル王国を征服
(8)セナケリブ王-バビロン市を破壊。
(9)エサルハッドン(セナケリブの子)-エジプトを制圧。
→小アジアとパレスティナの一部を除いた
初の全オリエント統一を達成(671B.C.)
→首都をアッシュールからニネベに移す。 |
{1}(アッシリア帝国)
(10)アッシュルバニパル王(位669~626B.C.)
→アッシリア最後の強大な王。
ニネベに世界最古の代図書館を建設(粘土板蔵書)
(11)政体
(a)中央集権的な専制国家。
(b)征服地を州に分け、総督を派遣、
(c)商業活動、軍の機動力を重視、首都から
各地に向けて公道を整備、
(12)支配政策
→重税と圧政により、
服属民族を苦しめる。強制移住なども行う。
(13)滅亡
(a)エジプトが反旗を翻し独立。
更に北方民族の侵入を受ける。
(b)メディア、カルディア連合軍の侵攻を受ける。
→ニネベ陥落し、アッシリア帝国滅亡(612B.C.) |
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{2}リディア王国(7c~546B.C.)
(1)語族:印欧語族
(2)首都:サルデス
(3)世界最古の鋳造貨幣を製作 |
{1}(アッシリア帝国) |
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600B.C. |
{3}メディア王国(8c~550B.C.)
(1)メディア人-印欧語族。
→イラン高原西北部に居住
(2)首都:エクバタナ
(3)キャクサレス王が新バビロニアと
結んでアッシリアを滅ぼす
(4)4王国中最大の領土。 |
{4}新バビロニア王国(カルディア王国)(625~538B.C)
(1)語族:セム語族
→先住アラム人とアムル人の混血。
(2)支配者-アラム人カルド族
→カルディアのの名の由来
(3)首都:バビロン。
→メソポタミアの大部分を支配し、
4王国中最強の国力。
(4)ナボポラッサル王
→メディア王キャクサレスと
ともにアッシリアを滅ぼす |
{4}(新バビロニア王国)
(5)ネブカドネザル2世(位605~562B.C.)
→カルディアの黄金時代。
(a)カルケミシュの戦い(605B.C.)
→北進するエジプト軍を撃破、
シリア、パレスティナの利権を獲得。
(b)シリア、パレスティナの諸小王国に厳しい制裁措置
◎バビロン補囚(586B.C.)
→ユダ王国滅亡時、主だったユダヤ人をバビロンへ強制移住
(6)壮大な建造物
→マルドゥク神殿、バベルの聖塔、空中庭園 |
{5}エジプト王国(第26王朝)
(1)サイス侯プサメティク1世が
アッシリア勢を駆逐。
→サイス朝をひらく
(2)首都:サイス
(3)第2代ネコ2世
→カルケミシュにて
新バビロニアに敗北。
(4)親ギリシア的政策。 |
600B.C. |
500B.C. |
{6}アケメネス朝ペルシア(550~330B.C.)
(1)ペルシア人-印欧語族。イラン高原西南部に定住。その中のバサルカダイ部族の王アケメネスが王国を建設(7cB.C.はじめ)
(2)キュロス2世(位559~530B.C.)-大帝国の基礎を築く
(a)メディア王国を滅ぼし(550B.C.)、その支配から独立
(b)リディア王国を滅ぼし(546B.C.)、小アジア西岸まで支配下に置く
(c)イラン高原制圧、パルティア、バクトリア遠征成功。
(d)新バビロニアを征服(539B.C.)、補囚されていたヘブライ人を解放。故郷への帰還と神殿の再建を許す(このころよりユダヤ人(ユダ州の民)と呼ばれるようになる)
(3)カンビセス2世(位530~522B.C.)-エジプトを征服
→ほぼ全オリエントを統一(525B.C.)
(4)ダレイオス1世(大王)(位522~486B.C.)-第3代皇帝
(a)各地の反乱を鎮圧。
(b)西インドに遠征。また、ボスホラス海峡を渡ってトラキアへも遠征。インダス川流域~エジプト、トラキアの一部にまで及ぶ大帝国を建設。
(c)首都:ペルセポリス(形式上)とスサ(政治、経済の中心)
(d)統治体制:属州制(サトラップ制)-全領土をほぼ民族構成により約20の州(サトラピー)に分割、各州に長官(サトラップ)を派遣
長官は王が任命し、徴税、治安維持に当たらせる。更に文官、武官を配置して権力分散をはかる。
(e)各州に長官とは別に巡察使(王の目、王の耳)を派遣。
(f)交通網の整備-公道(王の道)を作り、早飛脚、駅伝制を実施。経済、軍事、治安維持に寄与。
(g)経済振興活動に積極的-金銀貨の鋳造、その統一を行い、税制を確立。フェニキア人の海上貿易を保護
(h)ギリシア遠征は失敗。
(5)ペルシアの統治体制-宗教、伝統などは各民族の風習を尊重して自治を認め、穏和な政治を行う。
(6)クセルクセス1世(位486~465B.C.)-ギリシア遠征に敗北。
(7)滅亡-アレクサンドロス大王の遠征の際、ダレイオス3世が敗北し滅亡。 |
500B.C. |
年代 |
イラン |
メソポタミア |
小アジア |
シリア |
フェニキア
(レバノン) |
パレスティナ |
エジプト |
年 |
1.古代オリエント
[6]古代オリエント文化
{1}エジプト
(1)伝統尊重、平和的、来世に対しての観念が発達
(a)宗教-太陽神ラーを中心とする多神教
→新王国時代、テーベの守護神アモンがラーと合体し、アモン・ラー信仰広がる
→アメンホテップ4世、アモン・ラー信仰をやめ、唯一神アトンの信仰を強制。
(b)霊魂不滅の信仰
→ミイラを作り、死者の書(死者の生前の善行や呪文を記し、副葬したもの
死後の世界を司るオシリスの審判の際添えるものとした)を残す。
(2)文字(エジプト文字)
(a)象形文字(絵文字)が発達
◎書体
○神聖文字(ヒエログリフ)-神殿、墓などに刻まれる
○神官文字(ヒエラティック)-神聖文字を簡略化、神官階級が利用
○民衆文字(デモティック)-最も簡略化したもの
(b)ロゼッタストーン-ナポレオンのエジプト遠征の際発見
→シャンポリオンが神聖文字の解読に成功。
(c)パピルス-文字の記録に使用
(3)その他の文化
◎洪水予報、治水、灌漑、建築技術から、天文学、測地術、太陽暦が発達
→ナイルの洪水がほぼ365日ごとに繰り返される(30×12ヶ月+5祝日)
→7月半ば(洪水期)、シリウス星が暁天に(エジプトの元旦)。シリウス星の
1回帰年が365日と1/4にあたり、ここから新暦を作った(2770B.C.頃)。
※名称は太陽暦だが、基準はシリウス星。後ローマでユリウス暦として採用。{2}メソポタミア
(1)宗教-多神教。現世的傾向。
(2)文字-楔形文字(シュメール人が原始的な絵文字より発達させる)
→葦の茎や金属で粘土板などに刻む。
ヒッタイト、ミタンニ、アッシリア、シリアなどへ継承。
(3)その他の文化
(a)60進法-天文上の円周分割より創始。角度、時間、度量衡の基準となる。
(b)太陰暦-バビロニアで太陰太陽暦に進化
(c)7日1週の法、占星術、天文学、数学、農学が発達。
(d)ギルガメシュ伝説-メソポタミアの叙事詩の主人公。{3}ペルシア
(1)宗教-ゾロアスター教
→7c~6cB.C.頃、ゾロアスター(ツゥラトゥストラ)がペルシアの古代宗教を改革
(a)善悪二元論-善神アフラ・マスダ(光明神)と
悪神アーリマン(暗黒神)
◎2神が闘争し300年おきにその優越が交替するとしている。
→9000年目、あるいは12000年目の決定的闘いの結果、善神が勝利(最後の審判)
→ユダヤ教、キリスト教に影響を与える。
(b)火を清浄なものとする(拝火教ともいう)
(c)唐代の中国に伝播
(2)文字-ペルシア文字(楔形文字を表音化)
(a)ペルセポリス碑文-グローテフェント(独)が研究、解読の端緒。
(b)ベヒスタン碑文-ローリンソン(英)が解読
(3)公用語-アラム語
{4}ユダヤ教の成立
(1)背景-民族的な受難。
(a)出エジプト-モーゼの十戒がユダヤの律法となる
→唯一神ヤーヴェ(エホバ)の信仰
(b)バビロン補囚(586B.C.)-国家滅亡
(c)後のペルシア人の解放により、信仰の正しさを確信。
→帰国後、イェルサレムにヤーヴェ神殿を再建、教団の成立。
(2)教義
(a)祭儀とモーゼの律法の遵守
(b)思想
◎選民思想-ヘブライ人のみが救われる
◎メシア思想-救世主の出現で、最後の審判の後にヘブライ人に栄光
(3)パリサイ人(立法主義者)の出現-モーゼの律法、その他の
戒律を説き、かつ厳格に実践。
→後代、信仰が形式化し、イエスの改革につながる
(4)聖典
◎旧約聖書-ヘブライ人の伝承、神への賛歌、預言者の言葉などをまとめる。
最古のものは850B.C.頃成立。今日の形のものは2cB.C.頃まとまった |
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2.ギリシア世界