マーマンとは -民話・神話や伝説の英雄と妖精-
男の人魚。人間に対してはさほど興味を示さないため、人前に姿を現すのは稀である。マーメイドに比べ、一般に気性が荒く醜い。嵐を擬人化した存在であり、マーメイドを傷つけると彼らが嵐を起こして船を沈めるといわれている。
マン島民話「デュンニャ・マリ」ソフィア・モリソン編/ニコルズ恵美子訳
デュンナ・マリ(男の人魚)はカニが好物だと言われている。ドルビーに住むじいさんが、ある日海岸でカニを捜していた。カニはたくさんとれた。じいさんは、自分より前からカニとりにやってきて一匹もとれない男の人魚に気がついた。人魚はじいさんに呼びかけた。「ジュアン、おれにカニを一匹くれ」じいさんも大声で答えた。「そのかわりに何をくれるかね?」「おまえの運を占ってやるよ」人魚は答えた。これを聞いて、ジュアンは人魚にカニを二、三匹投げてやった。すると人魚は海にもぐっていきながら、こう言った。「おまえが陸に住むかぎり、海でおぼれることはない」