マブとは -民話・神話や伝説の英雄と妖精-
妖精の女王。眠っている人の上に乗って悪夢を見させる夢魔(インキュバス、女はサッキュバス)と同種とされ、マブの仕業によって人は夢を見るとされる。マイケル・ドレイトン(1563-1631)の「ニンフィディア(1627)」ほか、16~17世紀のほとんどの詩人は、マブを妖精の女王として作品中に登場させている。ごく小さい妖精に属するが、もとはケルト神話「クーリーの牛争い」に登場する好戦的な女王メイブとも関係があるとされている。
戯曲「ロミオとジュリエット(1597)」ウイリアム・シェークスピア(1564-1616)作
「さて君は一夜をマブの女王と過ごしたようだな。あいつは妖精の産婆だ。恋人たちの頭を通れば恋の夢、宮廷人の膝を通れば敬礼の夢、弁護士の指を通れば謝礼の夢..」(マキューシオ)
シェークスピアの「ロミオとジュリエット」は舞台の他、映画でも楽しめる。「ロミオとジュリエット(1954英・伊合作/レナート・カステラーニ監督)」、「ロミオとジュリエット(1954ソ連/レフ・アルンシュタム&L・ラブロラスキー監督/バレエ)」「ロミオとジュリエット(1968英・伊合作/フランコ・ゼフィレッリ監督)」、「ロミオとジュリエット(1996米/バズ・ラーマン監督)」など。