マヤ神話 ー世界の神話ー
マヤ神話
マヤの神話には代表的なものが二つ有る。
特に有名なのはグアテマラのキチェー神話を集めた最も重要な神聖な書物、『ポポル・ヴフ』である。これは評議の書を意味し、16世紀の中頃、キチェーの貴族がキチェー語をアルファベットで表記したものである。18世紀初頭にスペイン人修道士フランシスコ・ヒメネスがこの手稿本を発見し、キチェー語のテキストを筆写してスペイン語の対訳をつけた。これが現存する最古の『ポポル・ヴフ』であり、シカゴのニューベリー図書館に保存されている。この本は数カ国語に翻訳されている。
もう一つの神話は『チラム・バラムの書』と呼ばれているものである。
ポポル・ヴフ Popol Vhu
『ポポル・ヴフ』は大別すると三部構成となる。最初は大地の創造とその最初の住人達の物語、次に双子の英雄とその父祖の物語、最後がキチェー王朝の創始にまつわる伝説からスペイン人による征服までの物語である。このうち、第2部の成立が最も古く、ここで語られる逸話は多くの遺跡にレリーフなどの形で残っている。また、登場人物は利き手にとってすでになじみのものと言う前提で話が進められている。
・大地創造と破壊
それは静寂の中で起こった。ググマツとフルカンが、最初に大地とそのうえの地形や木々を作り、次に空を頭上にあげた。太陽はまだ無かった。神々はさらに大地に全ての動物を住まわせた。しかし、動物たちは人間のようにしゃべることができなかったため、神々を讃えることができなかったため、より高等な存在に食べられるように宣告した。創造主を讃える存在を作る試みとして、神々は泥で人間を作ったが、泥の人間は神々の見ている前で壊れてしまった。フルカンとググマツは、始祖の予言者であるシュピアコックとシュムカネに、人類を生み出すよう頼んだ。今度の人間は木を掘り刻んで作られ、すぐ日常で植え広がったが、やがて創造主のことを忘れてしまった。そのため神々は空から様々な破壊力を送りこみ、さまざまなものが人間に敵対するように仕向けた。ここまでが第1部である。
・双子の英雄
フナフプとシュバランケと言う半神の双子の英雄は、贋の太陽(ウクブ・カキシュと言う神)を倒す。ここから突然双子の英雄の一代前、双子の父フン・フナフプとその兄弟ブクブ・フナフプの時代に戻り、その2人がシバルバ(地底世界)に呼ばれで敗れ埋められる話になる。フン・フナフプの頭だけは瓢箪の木に吊るされる。シュキックと言うシバルバの女神はフン・フナフプの唾を手に受け妊娠する。これがフナフプとシュバランケとして生まれることになる。双子はまず、すでにいた兄達を口車に乗せ木に登らせ、降りてこれなくした。そして、兄達は猿になった。双子は知恵を振り絞ってシバルバの神々を破って、真の人間の世代のために道を切りひらいた。双子が父たち2人の遺体を掘り起こして蘇らせそれから空に昇って月と太陽となった。ここまでが第2部である
この物語では球技がカギとなる。双子もその親達も球技の達人であった。球技場は多くの遺跡に残っている。
・人間の物語
始祖の夫婦が神々を讃えることができる人間の創造を再度試みる場面で幕を開ける。今度はキチェー族の四人の始祖がトウモロコシで造られた。彼等は創造主を讃え、世界を知り尽くした。だが、創造主はあまりに完璧に近い能力を持ったトウモロコシの人間を警戒し、人間の視界を曇らせて近くしか見えないようにした。これらは全て真の太陽が昇る前の出来事であった。四人の始祖はトゥラン・スコアという七つの洞窟のある山へ旅し、そこで神を受け取った。彼らはこの神を包みにしてめいめい背中にしょって家へ連れ帰った。バラム・キツェが受け取った神はトヒルといい、人間に火を与えたが、その代償として人身供犠を要求した。やがて、ついに東の空に真の太陽が昇った。
『ポポル・ヴフ』の最後にはバラム・キツェから16世紀中頃の子孫までの14代の期間の各家系の歴代の長が列挙されている。
チラム・バラムの書 Les propheties du Chilam Balam
『チラム・バラムの書』はそれぞれ見つかった場所によってチュマエルの書、ティミシンの書、マニの書の三部がある。チラム・バラムとはジャガーの予言者を意味している。これらは「予言の書」とも言われるが『ポポル・ヴフ』と同じ様に世界の滅亡と再製についての物語が記されている。