プレアデス七姉妹とは -民話・神話や伝説の英雄と妖精-
冬の代表的な星座、牡牛座の中にあるプレヤデス星団。その中でもひときわ目を引く7つの星にまつわる神話物語。
ギリシャ神話で、オリュンポス以前の神の1人として語られるアトラス(アトラース)は、天の支柱の番人または自らその肩に天を支える巨人で、しばしば美術や文学にも現れるが、彼とニンフ(ギリシャの妖精の総称「Nymph」)のプレオネ(プレイオネー)の間に生まれたとされる7人姉妹の物語も神話として伝えられている。
ギリシャ神話「アトラースの娘」
アトラースの娘は、かの7つの星すなわち「すばる」で、プレイオネーとの間に生まれたアルキュオネー、メロペー、ケライノー、エーレクトラー、ステロペー、ターユゲテー、マイヤの7人姉妹である。
ある時、狩猟者オリオンが、母プレイオネーの隙をみて娘たちの後をしつこく追いかけ回した。これを見ていたゼウスが憐れんで、相共に天界に移し、オリオンを犬を連れた猟師に、七人の娘らをその前に逃げていく7羽の鳩(ペレイア)、すばるの7つ星に化したのである。
7つの星のうちの影のおぼろな1つは、子孫であるトロイアの王家がギリシャ勢のために滅ぼされたのを悲しんで、面を覆うエーレクトラー(彼女はゼウスに愛されてトロイア王家の祖ダルダノスを産んだといわれている)とも、または死すべき人間シーシュポスに嫁いだのを恥として隠れたメロペーともいわれている。
星の神話「プレヤデス七姉妹」
「月の女神アルテーミスに仕えていた7人姉妹プレヤデスが、ある月の明るい晩、森の中で踊っていると、大男の猟人オリオンがシシの皮をまとい、太い棍棒を担いで現れて姉妹たちをからかったので、あわてて森の奥へ逃げてアルテーミスに助けを求めました。そこで女神は7人を衣の裾に隠してやりましたが、オリオンが通り過ぎてから出してやると、美しいハトに変わって空に飛び上がり、7つの星となりました。
でも姉妹の1人のエレクトラが、我が子の建てたトローヤの城市が戦争で焼けてしまったのを悲しんで、長い髪をなびかせ、ほうき星となって飛び去ってしまい、今は6つの星しか見えなくなりました。」
北欧出身の歌姫メイヤの2ndアルバム「セブン・シスターズ(1998)」のタイトルはこのプレアデス七姉妹のことであり、映画「タイタニックの最期(1953・アメリカ)」の中で、船上のデッキから1人の神父が空の星を見上げた時に彼が口にした星座もこの7つ星だった。「アルバラン、君は孤独な星だ。他の星を見ろ…プレヤデスは7つもある…。」