リールの子たちの運命について -民話・神話や伝説の英雄と妖精-
海の神リールの子供たちが父親の愛情をたっぷり受けているのを妬んだ継母は、彼らを白鳥の姿に変えてしまう。それから長い間フィングラ(フィノーラ)と3人の弟は吹きすさぶ嵐の海を漂流する運命に…。
ケルト民話「リールの子たちの運命」J・ジェイコブズ編
昔リールという王がいた。妻が4人の子供を残して死んでしまったので、妻の妹を後妻として迎えるが、リ ールが子供たちを溺愛するのを見て、2番目の妻は嫉妬し、ドルイドの魔法の杖で子供たちを白鳥の姿に変えてしまった。そして、人間の言葉と歌を歌うことだけを許されたリールの子供たちは、900年もの間、アイルランドの湖や河をさまよい、ようやく魔法の期限が来たときに人間の姿に戻ることが出来た。しかし、その時にはすでに故郷の父や知る人の姿はなく、4人は900歳の老人となって死んでしまう。
「われらの漂流の年月、あまたの苦難に苛(さいな)まれ、風に翻弄され、寒さに凍え、されど最大の苦難は今この時ぞ…われらが生まれし家には知り人はもはや住まず」