ウリシュクについて -民話・神話や伝説の英雄と妖精-
パトリック・グレアムによると、ウリシュクはスコットランドのカトリン湖近くの山の洞穴や雨上がりの水たまりによく集まるという。彼らは家畜の番や農場の仕事をするので、ウリシュクが家庭にやってくるのはとても幸運なことだと考えた。しかし、時に仲間を欲しがって怖がる旅人を一晩中追い回すこともある。
スコットランド(高地)民話「ウリスク(ウリシュク)」
ある高地の水車小屋で、夜な夜な挽き臼が挽くものが何も入ってないのにゴットンゴットンと回ったので、雇人の1人が悪さの主をつきとめようと主人に申し出た。彼は寝ずの番をしようと水車小屋に陣取ったが、ついつい眠気に負けて寝入ってしまった。そうして真夜中にすと目を覚ますと、彼の向かいに毛むくじゃらの生き物が座っていた。彼が名を尋ねると「ウリスクだ」という答えが返ってきた。お返しにウリスクも雇人の名を聞いたので、彼は用心して「私自身だ」と答えた。
しばらくするとウリスクはその場でぐっすりと眠りこんでしまった。そこで雇人は熱い灰を鍋にすくってウリスクに投げつけた。毛がじりじり燃え始め、ウリスクは痛みに目を覚まして金切り声をあげながら戸口へと走った。その声を聞いて、ウリスクの仲間が騒ぎだしたが、哀れなウリスクが「私自身が私に火をつけたんだ!」と言うと仲間たちは「それなら自分で消すがいい」と答えてその騒ぎはおさまった。