ダリウス三世の一生・生涯・人生
過去にはダリウス1世やクセルクセス1世などの偉大な王を生み出したアケメネス朝ペルシャですが、紀元前4世紀には専制政治ならではの多くの問題に悩まされていました。 紀元前336年にダリウス3世は、先の王アルタクセルクセス4世を殺害してペルシャ帝国の王となります。彼はおよそ指導者としては失格で、ふさわしい勇気もありませんでした。当時ペルシャの将軍や大守のなかには、ダリウス3世の欠点を補える人物が幾人かいたのですが、大帝国の確固とした階級制度が彼等を押さえつけてしまいます。 ダリウス3世は、紀元前333年の「イッソスの戦い」と紀元前331年の「ガウガメラの戦い」でマケドニア軍と戦った際に部下や家族まで捨てて逃走しましたが、捕虜にしたマケドニア兵はしっかりと虐待しており、「臆病だが残忍なダリウス3世」のイメージはマケドニアの将兵たちの怒りを駆りたて彼等の士気を上げることになりました。 アレクサンダーの追跡をかわすため逃げまわっていたダリウス3世は、紀元前330年ついに部下の謀反により殺害されます。いくら王とはいえ彼の無能さにはさすがの部下たちも匙を投げるしかなかったのでした。アレクサンダーはそんなダリウス3世の遺体をペルセポリスに送ってやり、アケメネス王朝歴代の王廟に葬らせます。