ローマ皇帝を紹介 -読み物-
アウグストゥス Gaius Julius Caesar Augustus, Octavianus
在位:27 B.C.- A.D.14
初代皇帝となったオクタウィアヌスです。奥が深いというか、不思議な人物です。 病弱だし、何が傑出してすごいのかよく分からないんだけど、いつのまにか自分に 有利な状況になっている感じです。ティベリウス Tiberius Claudius Nero
在位:14-37
むりやり離婚させられたり、なんだかかわいそうな人です。
ガイウス(カリグラ) Gaius Julius Caesar Germanicus,’Caligula’
在位:37-41
3代目にして早くも暴君の登場です。 七光りで高い地位についてもろくなことにならない、という典型的な例ですね。
クラウディウス Tiberius Claudius Drusus
在位:41-54
頭のいい、有能な皇帝だったといえるのではないでしょうか。 妻のアグリッピナ(ネロの母)に毒殺されてしまいますが。
ネロ Lucius Domitius Ahenobarbus, Nero Claudius Caesar
在位:54-68
とりあえず言えることは、不幸な家庭に生まれた、ということでしょうか。 初期の頃はけっこう名君だったようですが…。意外に人気はあったようですね。
ガルバ Servius Sulpicius Galba
在位:68-69
お年寄り(70を過ぎてからの即位)ですね。ネロを倒したまではよかったけど、 皇帝の器ではなかったのかも。
オトー Marcus Saivius Otho
在位:69
ネロの親友だったそうです。あっというまにウィテリウスに敗北して自殺。
ウィテリウス Aulus Vitellius
在位:69
大食漢のおでぶさんのようです。フラウィウス派に敗北して殺されました。
ウェスパシアヌス Titus Flavius Vespasianus
在位:69-79
統治は過酷だったようですが、「まじめで公平公正な統治者」で、 クラウディウスを手本としていたそうです。 有名なコロッセウムの建設に 着手したのは彼です。
ティトゥス Titus Flavius Vespanianus
在位:79-81
息子が親の帝位を継いだのは、彼が最初です。その治世には、 ウェスウィウスの噴火 やローマの大火など、いろいろありました。 すぐれた統治により大きな名声を獲得したそうですが、短い治世で病死しています。 凱旋門がローマに残っています。
ドミティアヌス Titus Flavius Domitianus
在位:81-96
ティトゥスの実の弟ですが、この人は暴君です。無能ではなかったようですが。 それにしても、暴君の治世はなぜか長いんですよね。
ネルウァ Marcus Cocceius Nerva
在位:96-98
五賢帝時代を開いた人物です。一時しのぎ的に皇帝に選出されたらしいですが。 なんといっても後継者が最良ですね。トラヤヌス Marcus Ulpius Traianus
在位:97-117
偉大ですね。とにかく偉大だ!まさにローマの全盛期!! 「最善の元首」(optimus princeps)の称号はダテでないですね。
ハドリアヌス Publius Aelius Hadrianus
在位:117-138
帝国の拡張主義を転換して防衛に徹し、全国行脚(!)を行った皇帝です。 まあ善政だったんじゃないですか?
アントニヌス・ピウス Titus Aurelius Fulvus Boionius Antoninus Pius
在位:138-161
国民から親しまれたそうです。平和な世の中だったことでしょう。 マルクス・アウレリウスは、困難なとき「先帝ならどうしたか」を基準にして 行動したそうです。
マルクス・アウレリウス Marcus Aurelius Antoninus
在位:161-180
う~ん、本人はすばらしい人だと思います。いろいろと裏目に出ますね。 時代が悪かったんでしょうか?
コンモドゥス Marcus Aurelius Commodus Antoninus
在位:177-192
最悪の暴君。皇帝の器じゃない。少しは親父(マルクス・アウレリウス)を見習え!ペルティナクス Publius Helvius Pertinax
在位:193
私の好きな「高潔の士」です。殺されなければ、偉大な皇帝になっていたと思います。 最期はあわれ。
ディディウス・ユリアヌス Marcus Didius Severus Julianus
在位:193
帝位を金で買った大馬鹿野郎です。ただただ、呆れます。
セプティミウス・セウェルス Lucius Septimius Severus
在位:193-211
う~ん、評価が難しいですね。ペルティナクスの仇討ちをしたし。 後継者にした息子どもはそろってバカだし。けっこう大ざっぱなイメージです。
カラカラ Marcus Aurelius (Septimius Bassianus) Antoninus, Caracalla
在位:198-217
ゲタ Publius Lucius Septimius Geta
在位:209-211
親父に似ず、バカな兄弟たち。残忍で野蛮な連中です。
マクリヌス Marcus Opellius Macrinus
在位:217-218
優柔不断かな?
エラガバルス Varius Avitus Bassianus Marcus Aurelius Antoninus, Elagabalus
在位:218-222
とにかく変な奴ですね。女装好きだったそうですし。「おたく」かな?
セウェルス・アレクサンデル Marcus Aurelius Severus Alexander
在位:222-235
なかなか好人物だと思います。弱腰と言われながらも、けっこう善政だったそうです。
マクシミヌス1世トラクス Gaius Julius Verus Maximinus,’Thrax’
在位:235-238
「化け物」ですね。怪力だし、残忍だし。なんでこんなやつが皇帝になれるんだ?ゴルディアヌス1世 Marcus Antonius Gordianus Sempronianus
在位:238
ゴルディアヌス2世 Marcus Antonius Gordianus Sempronianus Romanus Africanus
在位:238
なんだかかわいそうな親子です。ムリヤリ皇帝に擁立されて、殺されて。
バルビヌス Decimus Caelius Calvinus Balbinus
在位:238
プピエヌス Marcus Clodius Pupienus Maximus
在位:238
マクシミヌスを倒したところまではよかったのだけど。両雄並び立たず。
ゴルディアヌス3世 Marcus Antonius Gordianus
在位:238-244
ただの傀儡(かいらい)皇帝なんでしょうね。
フィリップス1世アラプス Marcus Julius Philippus Arabs
在位:244-249
ハデな世紀祭でごまかしてますね。
デキウス Gaius Messius Quintus Decius, Traianus
在位:249-251
「戦闘には勇敢、平時にあっては温厚、長子とともに、生死を通じ古代道義 の鑑ともいうべきほどの名君だった。」(『ローマ帝国衰亡史』) だけどゴート族に大敗して戦死。
トレボニアヌス・ガルス Gaius Vibius Trebonianus Gallus
在位:251-253
「小心者」かな。ただ不運だったのかも。
アエミリアヌス Marcus Aemilius Aemilianus
在位:253
あっというまの治世で、よく分かりません。
ウァレリアヌス Publius Licinius Valerianus
在位:253-260
ペルシャに捕まってなければ、けっこう名君だったのでしょうね。 でもガリエヌスを後継者にしてたのはマイナス。
ガリエヌス Publius Licinius Egnatius Gallienus
在位:253-268
判断力がなく、ローマの没落を早めた人だと思います。 評価は分かれてるようですが。
クラウディウス2世ゴティクス Marcus Aurelius Valerius Claudius, Gothicus
在位:268-270
ナイッススの戦いでゴート族を撃破して「ゴティクス」の称号を得ました。強いです。 この人とアウレリアヌス,プロブスの3人は、ローマを滅亡の危機から立ち直らせた 英雄だと思います。アウレリアヌス Lucius Domitius Aurelianus
在位:270-275
「狡猾さを欠いていた」そうですが、ゼノビアをはじめ数々の敵を打ち破り、 とっても強いです。まさに英雄ですね。
タキトゥス Marcus Claudius Tacitus
在位:275-276
元老院議員出身です。 老体にむち打って、よくがんばってくれました。(すぐ死んだけど。)
プロブス Marcus Aurelius Probus
在位:276-282
「古代英雄にも匹敵する」すごい人です。元老院との関係も良好だったらしい。
カルス Marcus Aurelius Carus
在位:282-283
プロブスに背いた裏切り者。すごく強かったけど、ペルシャ遠征中に 雷に打たれてあっけなく死んでしまった(らしい)のは天罰か…?
カリヌス Marcus Aurelius Carinus
在位:283-285
ヌメリアヌス Marcus Aurelius Numerius Numerianus
在位:283-284
いずれもカルスの息子。カリヌスは「邪悪かつ残虐」だったらしいです。
ディオクレティアヌス Gaius Aurelius Valerius Diocletianus
在位:284-305
軍人皇帝時代の混乱を収拾して、帝国を再建しました。 絶大な権力を持っている時に自分から退位した人はあまりいないですね。 ただ、四分統治制がちゃんと機能したのはこの人の時代限りでした。マクシミアヌス Marcus Aurelius Valerius Maximianus
在位:286-305 (西)
ディオクレティアヌスと一緒に退位したまではよかったけど…。 未練を捨てきれずに、後に復位するものの、敗北して処刑されました。
ガレリウス Galerius Valerius Maximianus
在位:305-311 (東)
四分統治制により、295年に東の副帝、305年に東の正帝に即位。 ディオクレティアヌスによるキリスト教大迫害の仕掛け人らしいです。 傲慢な人、という感じですね。
コンスタンティウス1世 Constantius
在位:305-306 (西)
四分統治制により、295年に西の副帝、305年に西の正帝に即位。 コンスタンティヌス1世の父です。反乱をおこしていたブリタニアを回復。 「余のもっとも貴しとするのは民心である」という言葉はいいですねぇ。
マクセンティウス
在位:306-312 (西)
マクシミアヌスの息子。マクシミアヌスとともに、西の副帝セウェルスを倒して正帝を称す。 イタリア・アフリカに圧制を敷くものの、コンスタンティヌス1世に敗北して処刑。 彼の没落により、ローマという都市は帝国の中枢の座から転落した、といえるかも。
マクシミヌス・ダイア Maximinus Daia
在位:305-313 (東)
305年副帝となり、エジプト・シリアを統治、 310年正帝となる。 自分からリキニウスを攻撃しながら、あっけなく敗北して没落してしまいました。
リキニウス
在位:308-324 (東)
ガレリウスによって引き立てられ、東の正帝になる。 マクシミヌス・ダイアに勝利し、コンスタンティヌスとともに帝国を2分しますが、 両雄並び立たず、敗北。 すぐれた統治者なのか、そうでないのか評価は分かれてるようですね。
コンスタンティヌス1世 Flavius Valerius Constantinus
在位:306-337
ローマ古来の神々を捨て、キリスト教を帝国の統一に利用しようとした皇帝です。 また、ビュザンティウムの地に「コンスタンティノポリス」を建設し、 新首都としました。 この人自身は本当にキリスト教を信仰していたのでしょうか? ローマに凱旋門が残っています。
コンスタンティヌス2世 Flavius Claudius Constantinus
在位:337-340 (西)
コンスタンティヌス帝の後継者となった、名前のややこしい3兄弟の長男。 先帝の死後、ガリア・ヒスパニア・ブリアニアを統治。 弟のコンスタンスと争い、敗れて殺されました。
コンスタンス Flavius Julius Constans
在位:337-350 (西)
熱烈なキリスト教徒。先帝の死後、イタリア・アフリカ・イリュリアを統治。 兄のコンスタンティヌス2世を倒して西方全域を支配するものの、 マグネンティウスに敗れて殺されました。
コンスタンティウス2世 Flavius Julius Constantius
在位:337-361
コンスタンティヌスの死後の争いを勝ち残り、帝国を再統一した人物です。 猜疑心が強すぎるのはキライ。後継者指名は評価できるけど…。
ユリアヌス Flavius Claudius Julianus
在位:361-363
偉大な哲人皇帝です!!誠実な人柄、寛容な精神、高い理想、…。 ペルシャ遠征で戦死していなかったら…、どうしても考えてしまいます。
ヨウィアヌス Flavius Jovianus
在位:363-364
なぜこの人がユリアヌスの後継者になったのでしょうねぇ。 サルスティウスに後を継いでほしかった…。
ウァレンティニアヌス1世 Flavius Valentinianus
在位:364-375 (西)
どちらかというと優秀な皇帝なんでしょうけど、帝国を分割して 無能な弟ウァレンスを東の皇帝に据えたのは失敗ですね。ウァレンス Valens
在位:364-378 (東)
ローマを滅亡へと大きく近づけた皇帝でしょう。 反乱をおこしたプロコピウスに帝位を譲っておけばよかったかも。 ハドリアノポリスの戦いでゴート族に大敗して殺されました。
グラティアヌス Flavius Gratianus
在位:367-383 (西)
偉大な皇帝から、一転してバカ皇帝へ変身。しょせんはボンボンか。 テオドシウスを東の皇帝に登用したことは評価できるけど。
ウァレンティニアヌス2世 Flavius Valentinianus
在位:375-392 (西)
いわゆる傀儡(かいらい)皇帝ですね。
テオドシウス1世 Flavius Theodosius
在位:379-395
ローマを統一して支配した最後の皇帝。その死はあまりにも早かった。 無能な息子ども(アルカディウスとホノリウス)は後継者としては最悪。
ホノリウス Flavius Honorius
在位:395-423 (西)
テオドシウスの死後、ホノリウスはまだ幼く、実権はスティリコに。 スティリコの失脚後は、ラウェンナに引きこもったまま、滅亡に向かって為すすべなし。 ブリタニアを喪失し、ガリア・ヒスパニアでは西ゴートが自立。アルカディウス Flavius Arcadius
在位:395-408 (東)
実権は、ルフィヌス→エウトロピウス→エウドクシア→アンテミウス。 テオドシウスに似ず、西のホノリウスと兄弟そろって無能な皇帝。
テオドシウス2世 Theodosius
在位:408-450 (東)
アルカディウスの息子。この人も皇帝としては無能。フン王アッティラの脅威に脅える。
コンスタンティウス3世 Constantius
在位:421 (西)
スティリコの失脚後、影響力を増し、ホノリウスと同格の正帝となる。
ウァレンティニアヌス3世 Valentinianus
在位:425-455 (西)
いとこにあたる東帝テオドシウス2世により、幼くして帝位に就く。 アエティウスが実権をにぎる。ヴァンダルにアフリカを奪われる。
マルキアヌス Marcianus
在位:450-457 (東)
テオドシウス2世の姉プルケリア(女帝)との結婚により、帝位に就く。 温和で有能であり、信望を集めたらしい。
ペトロニウス・マクシムス Petronius Maximus
在位:455 (西)
ウァレンティニアヌス3世を殺害して帝位に就くが、3ヶ月足らずで虐殺される。
アウィトゥス Eparchius Avitus
在位:455-456 (西)
マクシムスの死・ヴァンダルの侵入という混乱期に、西ゴート王テオドリックの支援 を得て帝位に就く。元老院の支持を得られず、リキメールによって廃位される。
マヨリアヌス Julius Valerius Maiorianus
在位:457-461 (西)
久々に登場する偉大な皇帝。さまざまな改革に取り組むが、既得権を守ろうとする リキメールらの裏切りにより殺される。
レオ1世 Leo
在位:457-474 (東)
アスパールによって帝位につくが、後に粛正する。 バシリスクスによるヴァンダル遠征は失敗に終わった。
リビウス・セウェルス
在位:461-465 (西)
リキメールに操られる傀儡の皇帝。はっきり言って、あまり存在感がない。 その死後、しばらく西の皇帝は空位に。
アンテミウス Anthemius
在位:467-472 (西)
東帝レオ1世により、西の皇帝となる。 東ローマによるヴァンダル遠征が失敗すると、リキメールと対立するようになり、 ローマでの戦いで殺される。
オリュブリウス Olybrius
在位:472 (西)
リキメールによって帝位につくが、在位7ヶ月で死去。
グリュケリウス Glycerius
在位:473 (西)
ブルグンド族のグンドバッドによって、帝位につく。 その支援がなくなると、あっさりネポスに駆逐された。
ユリウス・ネポス Julius Nepos
在位:473-475 (西)
混乱を収拾すべく、東帝レオ1世によって西帝に指名された。 しかし、オレステスの反乱により、ダルマティアに逃亡、後に暗殺された。
レオ2世
在位:474 (東)
レオ1世の娘アリアドネの息子。実権は実父のゼノンが握る。わずかな在位で死去。
ゼノン
在位:474-491 (東)
イサウリア人。東ゴート王テオドリックにイタリア回復を命じ、オドアケルを失脚させる。
ロムルス・アウグストゥルス Romulus Augustulus
在位:475-476 (西)
最後の西ローマ皇帝。反乱を起こして実権を握ったオレステスの息子で、その傀儡皇帝。 オドアケルによって廃位・追放された。